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2019年6月(筆者撮影)
神戸市は三宮の神戸市役所2号館を「複合超高層ビル(延床面積55,000㎡)」と「連絡ロビー・エネルギー施設(延床面積5,000㎡)」の合計6万㎡の2棟のビルに2027年頃に建替える予定で、2022年2月に入札を受付、2022年5月頃に民間事業者を決定する計画だった。
しかし、神戸市は2022年1月27日、公募スケジュールを2か月延期した。
- 入札受付期限 2022年2月25日 ⇒ 2022年4月28日
- 落札者の決定 2022年5月頃 ⇒ 2022年7月頃
参照 神戸市 https://www.city.kobe.lg.jp/a55197/2goukan_jigyousya_koubo_schedule.html
「複合超高層ビル(延床面積55,000㎡)」には「神戸市新庁舎」と「にぎわい施設(当ブログでは高級ホテルと予想)」が入居する。
出典 神戸市
出典 神戸市
新市役所2号館の用途
棟 | 機能 | 延床面積 |
高層棟 | 集客・商業施設 | 55,000㎡ |
低層棟 | 庁舎機能・市民利用空間 | |
連絡ロビー・エネルギー施設棟 | 連絡ロビー・エネルギー施設(高さ50m) | 5,000㎡ |
高層棟と低層棟は一体開発し、連絡ロビー・エネルギー施設棟は連絡デッキで接続する
2020年10月(筆者撮影)
神戸市役所2号館は1957年竣工で、8階建ビルだったが、1995年の阪神・淡路大震災で6階部分が倒壊したため、6階以上を撤去し、5階建て(延床面積15,000㎡)となっていた。
建替後の新2号館は、現在の神戸市役所1号館(30階建、高さ132m、延床面積約52,000㎡)と同規模の延床面積55,000㎡で、20階以上の超高層ビルと予想される。
民間会社が建物を建設し、神戸市役所が「市役所部分」と「連絡ロビー・エネルギー施設」を合計185億円で買い取るスキームとなる予定。
出典 神戸市
超高層部分は神戸市が50年~70年の定期借地権を設定する可能性がある。
神戸市役所 新2号館 物件概要
名称 | 神戸市役所2号館建替 |
所在地 | 神戸市中央区加納町6 |
階数 | 20階以上(当ブログ予想) |
延床面積 | 55,000㎡ |
ホテル棟(超高層) | 21,000㎡(集客施設) |
7,000㎡(商業施設) | |
行政・商業施設棟(低層) | 15,000㎡(市役所機能+市民利用空間) |
12,000㎡(駐車場・機械室等)2棟合計か? | |
(連絡ロビー・エネルギー施設) | (別途5,000㎡) |
民間事業者公募 | 2022年5月事業者決定 |
事業費 | 185億円(庁舎110億円+連絡ロビーエネルギー施設75億円) |
完成予定 | 2027年 |
地図
コメント
神戸市は、JR三ノ宮駅からウオーターフロントや旧居留地への回遊性を向上させるため「にぎわい・集客」施設つまり「高級ホテル」を入居させる。
外資系高級ホテル「コンラッド大阪」の客室面積は全室50㎡以上と広いため、客室数は164室と少なくなっている。
神戸市庁舎2号館の場合も、1泊5万円の高級ホテルであれば150室程度と予想される。
日本の場合、高級ホテルと言えどもウェディングや宴会需要も取り込む必要があるので、駅前立地が望ましい。
しかし、神戸市役所2号館は、JR三ノ宮駅から徒歩5分くらいかかる。
一方、神戸市が開発を主導している「神戸三宮ツインタワービル」はJR三ノ宮駅前に建設され、そこにも「高級ホテル」が入居する。
また、JR西日本もJR三ノ宮駅ビルを建替える予定で「高級ホテル」が入居する可能性もある。もし、神戸市が高級ホテル入居を条件に容積率を100%~200%緩和すれば、確実に高級ホテルが入居すると思われる。
それなのに、なぜ、神戸市は「高級ホテル」を不便な地下鉄海岸線「三宮・花時計前駅」に計画しているのか?
800席の音楽専用ホールの計画は中止
- 当初計画していた「音楽専用ホール(800席)」は中止となり、神戸三宮ツインタワー2期ビルの中ホール(700席)を音楽用に使用できるよう変更し集約する。
- フラワーロード~ウォーターフロントの賑わいを創出するため市庁舎内に音楽ホール(800席)を計画したが、東遊園地の「こども本の森 神戸」や新港突堤の「多目的アリーナ」の建設が決定したことから、音楽専用ホールの計画を中止したとされる。
地下鉄海岸線の赤字対策か?
神戸市と兵庫県は、市民や県民がアクセスしやすい「JR新長田駅」前ではなく、1駅先の不便な「駒ヶ林駅」前に、「新長田合同庁舎」を90億円かけて建設していた。
「地下鉄海岸線」の利用者を増加させようとしているのではないか?
そうであるならば、神戸市役所2号館も「地下鉄海岸線」の利用者を増加させるために、便利な「JR三ノ宮駅」前ではなく、不便な地下鉄海岸線「三宮・花時計前駅」に「高級ホテル」を計画しているのではないか?

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2019年6月末撮影
新長田合同庁舎 物件概要
名称 | 新長田合同庁舎 |
所在地 | 神戸市長田区二葉町5丁目 |
敷地面積 | 約3,820㎡ |
建築面積 | 約2,800㎡ |
延床面積 | 約19,500㎡ |
構造 | 鉄骨造 |
階数 | 地上9階(執務室8階+塔屋1階) |
高さ | 約39m |
総事業費 | 約90億円 |
整備主体 | 兵庫県・神戸市・神戸すまいまちづくり公社 |
着工予定 | 2017年11月 |
竣工予定 | 2019年6月末 |
神戸市は、過大な需要予測で地下鉄海岸線を建設し、赤字経営となっている。その赤字を解消するために、市民の財産である市役所用地に一般の市民が利用することない1泊5万円の「高級ホテル」を誘致しようとしているのではないか?
神戸市のHPでは「にぎわい集客施設」とあるが、当ブログでは「高級ホテル」と読み替えしています。