2021年4月26日、「神戸三宮阪急ビル」の地下2階~地上3階及び地上29階に商業施設「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」が開業した。
飲食店が中心で、アパレル店やシネコン(映画館)は入居しない。また37店舗のうち2店はコンビニ。
「EKIZO 神戸三宮」という名称は、異国情緒(エキゾチック)が漂う港町神戸に位置する駅(エキ)と一体の施設であるという特性から命名された。
神戸三宮阪急ビル 物件概要
名称 | 神戸三宮阪急ビル(旧 神戸阪急ビル東館) |
所在地 | 神戸市中央区加納町4丁目2番1号 |
敷地面積 | 約7,100㎡(駅高架下範囲等を含む) |
延床面積 | 約28,850㎡ |
容積率 | 700%、800%(敷地によって容積率が異なる) |
高さ | 120m |
階数 | 地上29階・地下3階 |
構造 | 鉄骨造(S造)・地下部分は鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) |
設計 | 久米設計 |
施行 | 大林組 |
開業 | 2021年4月26日 |
「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」の延床面積10,550㎡のうち約5,500㎡は「高架下店舗」となる。
神戸阪急(デパート)との競合?
神戸三宮駅周辺には同じ阪急阪神東宝グループのデパート「神戸阪急(旧そごう神戸店)」があり、「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」との競合が懸念されるから「アパレル店」が入居しなかったのか?
しかし、デパートは40歳以上の中高年を顧客層としており、20代~30代をメインターゲットにすれば「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」にも「アパレル店」を入居させ、棲み分けができたはずだ。
したがって「神戸阪急(旧そごう神戸店)」との競合懸念が原因ではないと思う。
「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」の売上目標は?
名称 | 延床面積 | 売場面積 | フロア | 店舗数 |
EKIZO 神戸三宮 | 10,550㎡ | 地下2階~地上3階 | 35店舗 | |
旧三宮オーパ(閉店) | 5,150㎡ | 3,137㎡ | 地下2階~地上3階 | 69店舗 |
神戸マルイ | 6,940㎡ | 地上1階~地上9階 | 70店舗 |
JR三ノ宮駅に入居していた旧三宮オーパは2018年2月に閉店しており、「神戸マルイ」の売場面積や売上高をベンチマークとすると、「EKIZO(エキゾ)神戸三宮」の売上目標は50億円~100億円程度ではないか?
また賃料から逆算すると、神戸三宮の平均賃料は月12,000円(坪)なので「EKIZO 神戸三宮」の延床面積10,550㎡の月額賃料合計は約3,800万円、年間4億6000万円と予想される。
アパレル店の賃料負担は売上高の10%~15%なので「EKIZO 神戸三宮」の年間売上高が46億円~69億円あれば、アパレル店も営業できたはずだ。
しかし、アパレル店が入居しなかったということは「神戸マルイ」と競合することになり年間売上高が40億円以下と予想したのかもしれない。
また、神戸の人口減少、高齢化は今後も続くと予想され、神戸三宮駅周辺の再開発の遅れから20代~30代をターゲットにしたアパレル店の売上高は増加しないと予想したのかもしれない。
結局、「EKIZO 神戸三宮」は大阪まで行くことが億劫になった40代以上の中高年をメイン顧客層として出店計画を考えた結果、「サンキタ通り」などの飲食店(居酒屋)の顧客を取り込むことになったのではないか?
20代~30代に不人気な神戸
神戸市は人口が減少し、高齢化している。その結果、20代~30代は神戸三宮よりも大阪梅田や西宮ガーデンズで買物し遊ぶようになっている。
また、神戸三宮より東の西宮・尼崎・大阪の20代~30代も神戸にはほとんど行かない。
その結果、神戸三宮では「20代~30代」向けのおしゃれなファッションビルは成立しなくなっている。
実際、2003年に開業した神戸マルイの初年度売上高は172億円だったが、2020年3月期決算では48億6200万円と3分の1以下にまで減少している。
店舗名 | 2020年3月売上高 | 売り場面積 |
なんばマルイ | 112億3600万円 | 17,000㎡ |
神戸マルイ | 48億6200万円 | 6,940㎡ |
京都マルイ(2020年5月閉店) | 42億500万円 | 8,760㎡ |
新宿マルイ | 274億5600万円 | 30,590㎡ |
渋谷マルイ | 104億2200万円 | 14,090㎡ |
北千住マルイ | 389億5600万円 | 35,300㎡ |
神戸は「おしゃれな若者の街」から「ノスタルジックな中高年の街」に変化しているのかもれない。